ハーバーbooks
私はキング氏の作品は、新しいものは読んでいないが、現代のアメリカ文化、風俗を織り込んだ作風は、他の作家のホラー一辺倒の作品に比べて文学の香りを感じる。だからキング氏のホラー長編は長くなる傾向があり、私のようにホラーはキュッとまとまっていた方が怖いと考える人間にとっては、それを冗長に感じてしまう。しかし逆に好ましく思う人もいるだろうから、これは好みの問題だろう。
ジョー・ヒルの作風は父親に似ている。父親の作品よりも、ホラー以外の要素を多く盛り込んである。作品によってはアットホームな雰囲気も漂う。だからあまり怖くない。というより、このジョー・ヒルという作家は、読者を怖がらせようとはあまり思っていないのではないか、と、私は感じる。
本作は短編集である。短編集にしては結構厚い。それもそのはず、各話は短編にしては長く、中編と言えるかもしれない。冒頭作品のカメラのアイデアは、遺憾ながら平凡に感じた。前の短編集に収録されていた「自発的入院」が発想が変わっていて良かったので、期待したのだが。
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