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2020-01-13

映画レビュー「オール・ユー・ニード・イズ・キル」



◯Movie  review "All you need is kill"


一度も失敗をしたことがない人は、何も新しいことに挑戦したことがない人である。
〜アルバート・アインシュタイン


2014年アメリカ映画
出演 トム・クルーズ
   エミリー・ブラント

 私はアクション映画が好きだ。しかしメインキャラが立っていないアクションは観る気にならない。

 チームよりも一人のヒーロー。だから人気のアニメ「ワンピース」や「ぼくらのヒーローアカデミア」よりも「ワンパンマン」であり、「ワイルドスピードシリーズ」より「007シリーズ」が好きだと言えば理解いただけるだろうか。

 さらにヒーローは強くなければならない。戦いの最中に己の弱さに苦悩したり、そのせいで仲間が犠牲になるなどあってはならない。そんな主人公は不愉快で見たくない。

 圧倒的に強いジェイソン・ステイサム出演の作品はあらかた観てしまった。何か面白い作品はないかと物色していたところのトム・クルーズである。

 私の中でトム・クルーズ作品は微妙な位置にある。有名なミッション・インポッシブルシリーズは、物語中、主人公のイーサン・ハントはよく失敗する。
 敵の罠にかかり、追い回され、間一髪で切り抜けて結局は勝つのだが、観終わったあとにモヤモヤする。

 だからこの「オールユーニードイズキル」という長い名前の作品も、今までは食わず嫌いでスルーしてきた。しかし映画のあらすじを読んで観る気になった。

 トム・クルーズ演じる主人公は戦闘能力ゼロの広報担当将校だ。エイリアンと戦争中の軍隊にとっては役に立たない。ある日司令官から最前線に行けと命令され、逃げようとするがすぐに捕まってしまい、脱走兵として将校階級を剥奪される。そして前線に送られてあっけなく死んでしまう。でもなぜか次の瞬間ハッと目が覚めると出撃前日に時間が戻っている。これが延々と繰り返される。

 エイリアンに殺されては戻り、また死んでまた戻る。その繰り返しの中で少しずつ学習していき、死なないように強くなってゆく。ゲームオーバーとコンティニューを繰り返し、次第にゲームが上手くなってゆくのと同じだが、毎回の死に方が悲惨で痛々しい。
死んだ方が楽だ。

 能無しでカッコ悪かった主人公が強くカッコよくなってゆく過程が良い。頑張る動機が、正義からではなく、大切な女を守るためなのが潔い。